つくるさいの位置 クロード・モネ展 ~連作の情景~

 モネの大きな展覧会が大阪中之島で開かれています。

 過去何度も取り上げられた画家であっても、学芸員の方々はご自分の切り口で作家を検証すべく新しい切り口の見解を共有しようとされます。今回も、使い古された連作を、今までとは違った表示に苦労された跡が見られ、会場を通して美の情熱に包まれていました。

モネ ~連作の情景~ @大阪中之島美術館

 

  初期の、大人に気に入られたい気持ちと、その違和感から自分を見つぃけ出したい抗う気持ちが入り混じった作品から展覧会は始まります。硬いようで早くから彼のオリジナリティが現れているところが面白い。これは後述もしますが、結局、「眼」によるもの、それ以上それ以下でもないということでしょう。

 


 自分を貫くには一人では成しえないいい見本が、印象派を結んだ彼の仲間たちの存在です。正式には、印象派とはモネ一人だけのことであると私は思いますが、仲間がいなければ、信念を持続することは出来ず、モネも早くに筆を折っているか、アカデミーに吸収されていたに違いありません。お決まりの画題、技法、社交であった既得権益に交わらず、むしろ抗って、それぞれが自分の切り口でこの世を表現しようとすりうことは、まさに近代であり、コンテンポラリーでありました。

 モネは、この世を見る要素が「光から湧き出る色」だけであったのです。それに技術がついていたと言えます。

 

 

 その後、そのモネが目的を確立していく歩みが飾られ、ついに世間が彼に追いついてきます。展覧会では、テーマである作品群の部屋のみ撮影可にしており、ここに学芸員の方の意気込みを感じることができます。そこはオランジェリー美術館を意識した演出でまさにオマージュの空間になっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

各絵を飾る背景壁にもとても工夫をされており、色具合も形もとてもしっくりしています。ある箇所は建築のニッチ部のようになっていたり、ある箇所は数点をまとめた額装のようにもなっており、それを楽しむこともできるのです。

 

 

 

  「モネは単なる眼に過ぎない・・・・。しかし、なんとも素晴らしい眼だろう。」

                               P.セザンヌ

 

 モネの作品は間近でみてもその良さはわからない、2mぐらい離れてみることで初めてその美が現れる。だとしたら、彼はどこに立って描いていたのだろうかと考える。彼はいちいち画面から離れることなく描いていたと思うと、彼の眼は初めから彼しか持ち合わせていない眼、つまり、焦点が合っていなかったのではないかと思うのです。そして、晩年白内障を患い物の形態をハッキリとつかめなくなったのですが、おかまいなしに筆を取り続けることで、次の世代の抽象にバトンタッチすることができたのです

 自分の内にのみ目を向けることですね。

 

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